書籍

なんしょんな!!香川・PARTT
なんしょんな!!香川・PARTT
「行政の役割」水は誰のものか/人の渡らぬ橋、車の走らぬ道/広い家 他
1,200円(税込み)
有料会員のみ閲覧できます
なんしょんな!!香川・PARTU
なんしょんな!!香川・PARTU
「高齢者対策の処方箋」
1,200円(税込み)
有料会員のみ閲覧できます
なんしょんな!!香川・PARTV
なんしょんな!!香川・PARTV
「教育の危機」学校教育の危機/崩壊する家庭教育/的外れの企業内教育
1,200円+税
有料会員のみ閲覧できます
なんしょんな!!香川・Q&A BOOK
なんしょんな!!香川・Q&A BOOK
「Q&A」行政の役割/水問題/交通問題/時事
800円(税込み)
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKU
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKU
この本は、都村長生氏の政経塾「長生塾」とそのホームページに寄せられた質問に対し、都村氏が答えた内容をまとめたものです
800円+税
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKV
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKV
この本は、当ホームページに寄せられた質問に対し、都村氏が答えた内容をまとめたものです。
100円+税
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKW
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKW
この本は、当ホームページに寄せられた質問(2003年5月〜2007年3月)に対し、都村氏が答えた内容をまとめたものです。
100円+税
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKX
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKX
この本は、当ホームページに寄せられた質問(2007年5月〜2008年12月)に対し、都村氏が答えた内容をまとめたものです。
100円+税

POST長生塾スタートのお知らせ

なんしょんな Q&A詳細

  • 【175】 (4)地球温暖化とCO2問題(2010.3.27) (高松市・教員)
     地球温暖化とCO2削減の問題について質問します。ここに来てIPCCの温暖化関連報告書のデータにねつ造疑惑が発覚したり、ヒマラヤの氷河が消失するという報告はウソだったとIPCCが謝罪したりする事件が起こり、CO2による地球の温暖化説が怪しくなってきました。都村さんはこれまでのQ&AからもCO2による地球温暖化に懐疑的だと思われますが、その根拠のようなものをぜひお聞かせ願えないでしょうか。
  •  「CO2の増加が主原因で100年後に地球の平均気温が6.4度も上がる。その結果、南極・北極の氷が溶けて海面が59cmも上昇する」という話が出てきた時、私は常識で考えてそんなバカなことが起こるはずがないと思ってほとんど無視していました。かつて1910年(明治43年)に地球にハレー彗星が大接近した時、「地球の酸素が彗星に吸い取られて人類が窒息する」というデマが流れて大騒動になったことがありますが、私に言わせれば今度の地球温暖化の話も似たようなもので、「まあデマにしろ実害がないのならいいだろう、いずれ正常な専門家がきちんと正してこんなヨタ話は消えるだろう」と思っていたのです。

    ところが、その後どんどん話が大きくなって2007年にはとうとう京都議定書が締結され、世界中で「地球温暖化防止、CO2削減」という動きが始まって、あろうことか去年日本が率先して1990年比で25%もCO2を削減すると宣言してしまった。しかもそのコストが年間何兆円もかかる…実害が出てきつつあるのです。その時点で私は「これは絶対におかしいから誰かがきちんと正しておかねばならない」と思い、1年くらい前から警告を鳴らし始め(Q127 ,128)、今回少し時間を取って私の考えをまとめることにしたのです。世の中にはこういうデマやウソの情報が大小の差こそあれ、どこにでも転がっているわけですが、私たちは自分できちんと考えてその情報がウソか本当かを見分ける力を持たないと、今回のようなバカなことが起き、結局その尻ぬぐいは我々のところに回ってくることになる。そこでこれから「私がなぜおかしいと思ったか」についてお話をしますので、皆さんも自分で考える力をつけるための参考にしていただければ幸いです。

    私がおかしいと思った理由は4つあります。

    (1)まず国連が先頭に立って旗を振り出したこと
    (2)スーパーコンピューターを使って得たシミュレーション結果を唯一の理論的根拠としていること
    (3)政治家が煽って政治問題化してしまったこと
    (4)マスコミが煽り始めたこと

    これから私が申し上げることは基本的にはどれも、科学的な高度な専門知識が必要なものではありませんが、一部わかりにくいものもあるかもしれませんので、一つずつ説明をしていきましょう。

    (1)「国連」が出てくると、まず疑ってかかった方がいい

    まず1つ目は「国連」が先頭に立って旗を振り始めたことです。日本人は「国連」と聞くと盲目的に信じてしまうようですが(日本は世界で最も国連信仰が強い国です)、私はまず一番に疑ってかかります。というより、国連が何かをやると言えばかなりの確率で「何かおかしい、必ずどこかに利権が絡んだ裏がある」と思えばよろしい。そもそも、日本人は国連というのは強い権限とリーダーシップを持って国際的なもめ事を解決する機関だと思っていますが、それは大きな勘違いです。国連の実態は、世界各国の利益のぶつかり合いをただただ調整するだけの機関だと知るべきです。そして、当然ながら今まで調整などできた試しがない! 国連には各国から派遣された官僚中の官僚が集まっているため、ものすごく内向き後ろ向きな官僚的組織になっていて(日本の官僚の100倍くらい官僚的だと思えばいい)、何事もただ玉虫色にまとめようとするだけです。例えば、PKOにしても国連が出した軍隊だということになっていますが、実態はアメリカ軍であり、その内容はアメリカがアメリカの利益のために各国を巻き込んでとる作戦行動であり、国連はそれに名前だけ乗っかっているようなものです。少なくとも私の知る限り、国際的な問題を国連がきちんとフェアに解決したという例はありません(そもそも官僚的な役人に解決できるはずがない)。

    今度の地球温暖化に関する報告書をまとめた「IPCC」というのは、その国連の下の組織です。そこからまず私はおかしいと思い始めました。多くのみなさんはIPCCを気象科学の研究所だと思っているのではないでしょうか? 国連の中にIPCCという権威ある気象学研究所があって、そこが地球気象を研究して長年の客観的成果を発表したのだと思っているかもしれませんが、全くそうではありません。IPCCは「Intergovernmental Panel on Climate Change」、日本語に訳すると「気象変動に関する政府間パネル」であって、要するに世界の気象学者が発表した論文を評価するだけの機関にしかすぎません。世界中の気象学の論文(学会に発表された論文、専門誌に載った論文等)を評価し、「IPCC認定」というお墨付きを与え、それらを元にまとめたのが今度の報告書です。ということは、評価する時に恣意的に自分たちの持って行きたい結論に合うような論文だけを選べば、結論はいかようにも出せることになる…という類の物なのです(こういうやり方は役人のお手のものです)。

    一方、論文を出す研究者側にも“いやらしい力”がかかります。気象学はマイナーな学問分野ですから、どうしても大きな予算がつきにくい。しかし、スーパーコンピューターを使ってシミュレーションをするような研究にはお金がかかる。すると、研究者としては「IPCCの思うような結論を出すレポートを書いて認定され、予算をつけてもらおう」という力が働くわけです。そして、認められれば実際に予算がつく、しかもアカデミックに評価される! いずれにしろ、まず国連が出てきたこと、そしてIPCCは研究機関ではなく評価機関であること、学者は予算欲しさに名誉欲で動くことだけわかれば、最初からかなりバイアスのかかった報告書であることに気づくはずです。

    (2)スーパーコンピューターを使ったシミュレーションモデルの胡散臭さ

    IPCCは1990年の第一次評価報告書の発表以来、第二次、第三次を経て2009年に第四次評価報告書を発表しました。その主な主張はご存じの通り、
    ・2100年に地球の平均気温は今と比べて最大で6.4度上がり、海水面は59cm上昇する
    ・その原因の90%以上は温室効果ガスによる
    ・温室効果ガスの影響のうち56.6%はCO2である
    というもので、要するに「CO2の増加が主原因で地球が温暖化する」と結論づけています。ではこの説について、「常識的に見た疑問」と「スーパーコンピューターによるシミュレーションの手法から見た疑問」の2つ観点から見てみましょう。

    常識から見た「温暖化CO2主犯説」への疑問

    地球の熱収支を簡単に言えば、地球はまず太陽から熱をもらうわけですね(地球の熱源は太陽からの放射熱だけです)。簡単な(ステファンボルツマン則)計算によると、それが何もない状態であれば太陽から来た熱は一部反射されて地球に届き、地表は「マイナス18度」で平衡状態になる。しかし、地球の種々の放熱防止の機能により(例えば彼らの言う「大気中にあるCO2やオゾンやメタンといったいわゆる温室効果ガスがちょうど地球を毛布でくるんだようになって熱を逃がさないようになっていること」などがその一つです)、地球の平均気温は15度くらいに保たれているというわけです。では、今、IPCCがやり玉に挙げている温室効果ガスの中でも最も影響が大きいとされるCO2は、空気中に一体どれくらいあるのでしょうか?

    地球の大気の成分比は、皆さんも理科の時間に習った通り、体積比で窒素がおよそ75%、酸素が23%、アルゴンが1%くらいですが、CO2はわずか0.035%、ppm(100万分の1)で言えば350ppmです。わかりやすく言えば、空気中に100万個の分子があれば、そのうち350個がCO2だという比率です。それが、過去のデータによると過去100年間で毎年約1ppmずつ増えてきたことがわかっています(イギリスで産業革命が起こったのが1760年代〜1830年代ですから、過去100年と言えばすでに化石燃料をどんどん使い始めた時期です)。100万個のうちの350個が1年後に351個になり、次の年に352個になり…という程度のオーダーです。すると次は当然、その程度のCO2の増加で地球の平均気温がどれだけ上がるのか? という疑問が出てきますね。IPCCの(CO2の影響を過大化したい!)報告の数字を使ったとしても、「CO2以外の条件を一定とすれば」CO2が300ppm増え、今の約2倍の濃度になれば気温は1.2度上がる、つまりCO2が1ppm増えると気温は0.004度上がることになるそうです。すると、1度上がるのに250年もかかることになるではないですか! それを彼らは「あと100年で最大6度上がる」と言っている。これは誰が考えても、彼らが設定した「CO2以外の条件」がおかしいと思うでしょう。

    これは身近な例で言えばこういう話でしょう。香川県の人口は100万人、そのうち今、350人中国人が住んでいるとします。そして、1年に1人ずつ中国人が増えていくとします。そこで誰かが「大変だ! 100年もすると香川が共産主義化する!」……こんな話を誰が信じますか?

    もう一つ、常識から考えておかしい点を挙げましょう。それは、普通に考えれば気温に一番影響するのは「雲(水蒸気)」ではないのか? という疑問です。雲が太陽光を遮ると気温は明らかに下がります。晴れた日の方が曇りの日より暖かいのは皆さん、経験上の真実ですよね。つまり気温に対する雲の影響はCO2濃度による影響より、はるかに直接的で大きいことは誰にでも常識でわかることです。一説によると、雲の量が1%増えると地表の温度が1度下がるとも言われています。いずれにしろ、1ppmで0.004度…とかいう話とは桁違いに大きい影響であることは言うまでもありません。ところが、信じられないことにIPCCの報告書のモデルには「雲の量は一定とする」と仮定してあるのです。気温に関する報告書で、最大の影響要素だと思われる「雲」や「水蒸気」が考慮から外れているのでは、とても信用できるデータとは言えません。IPCCは、2000年からそれまでほぼ一定だった地上平均気温が指数乗的に上がり始め、100年後には6.4度上がると報告していますが、この2000〜2010年の10年間、実際の温度上昇はほとんどゼロでした。従って、いずれあと10年もすれば報告書ほど気温が上がらないことが誰の目にも明らかに確認されると思います。その時、彼らはどう責任をとるのでしょうか?

    とりあえず常識から見た疑問の例を2点挙げてみましたが、これだけでも「CO2増加のせいで地球が温暖化し、100年後に平均気温が最大6度上がる」という話がかなり眉唾であることはおわかりでしょう。私はいつもこうした素朴な疑問から情報の真偽を見分けるように心がけていますが、素朴な疑問というのは、別に深い専門知識を必要とするものではありません。小学校や中学校で習った基礎知識や社会の常識レベルの基礎知識で少し考えれば、誰でも「何かおかしいぞ」と気づくことができるのです。

    シミュレーションモデルはどのように作られたのか

    次に、スーパーコンピューターによる気象予測モデルの胡散臭さの話に入ります。幸いなことに私はエンジニア出身ということでコンピューターシミュレーションモデルについて少し専門的な知識を持っていますので、その知見をベースに解説をしていきたいと思います。少し難しいかもしれませんが我慢して読んでください。

    今、世の中には地球温暖化に関する数多くの本が出ていますが、その中のほとんどが「IPCC発表のデータ」を推論のベースとしていることに気づきます。それは「スーパーコンピューターを使って100年後の気象を予測した」とされるデータですが、そのほとんどの本の中にはシミュレーションモデルの詳細が全く書かれてない。つまり中身がブラックボックスなのです。少し調べてみると、それは彼らの言葉を借りれば「3次元放射対流平衡気象予測モデル」であり、「11万ステップのプログラムを持つ」巨大なモデルだということです。私は彼らに遡る10年以上前の1975年に石油精製工場の現場で蒸留塔のダイナミックシミュレーション(彼ら流に言えば「2次元多成分系蒸留塔温度・成分平衡予測モデル」で「1500ステップくらい」のモデルです。ダイナミクスとは温度、成分の時間変化が刻々と追える、という意味)の開発をやっていたのでわかるのですが、まずこの種のモデルは数千ステップを超えると中で何が起こっているのかわからなくなる。言い換えれば「人知を超える」のです。それが11万ステップとなるとモデリングは分業にならざるを得ず、全体の中身をちゃんと説明できる人は誰一人としていないと思われます。私に言わせれば、そんな誰も説明できないプロセスから出てきた結果を信じる、ということ自体がおかしいのです。皆さんは“スーパーコンピューターを使って”という説明を受ければ盲目的に「すごい」と信じ込む傾向にあるようですが、私は全くその逆です。人のフォローできないコンピューターモデルなんてコントロールの効かないオウム真理教のようなもので、結果が暴走するだけです。

    では彼らは一体どういうモデリングをしたのか? その説明をする前に、こういうシミュレーションモデルを作る時の基本を知るために、まず私が石油精製会社でどういうことをやっていたのかをお話しします。私がエクソンの子会社の石油精製会社に入って一番最初にやった仕事が、石油からいろいろな成分を分溜して取り出す蒸留塔のコンピューターシミュレーションモデルを作ることでした。これは、蒸留塔の中に入れた原油が熱を加えることによって、時間経過とともにいつどの成分がどのくらい蒸留塔のどの場所で抽出されるかをすべてコンピューター上でシミュレーションできるようにしようという、世界で初めての試みでした。もしこのモデルが完成すれば、今まで経験的に設定されていた蒸留塔の温度コントロールシステムの最適化が可能となり、最終成分の収率が大幅にアップするはずです。それまでは蒸留塔中の1カ所で温度を測って、その温度が下がれば熱をつけ、上がれば冷却するといったフィードバックコントロールによって系を安定的に保ち、収率をコントロールしていたのですが、そのフィードバックの具合(遅れとか大きさ等)がよくわからないので、経験則でコントローラーの設定を決めていました。その設定を決める一番いい方法は実プラントで試行錯誤の実験をして決めればいいのですが、もしそんなことをすれば下流のすべての装置に影響し、工場がストップしてしまいます。そこで、コンピューター上で温度と成分の時間経過が追え、いろいろ条件を変えられて結果がすぐ得られるモデルが待望されていたのです。

    蒸留塔とは簡単に言えば、うどんやそばやそうめんをゆでる釜を垂直に何十も重ねたようなものだと考えてください。私が対象に選んだデプロパナイザー(プロパンを抽出する塔)は直径3m、高さ20m、トレイ数(釜の数)40段くらいの蒸留塔でした。具体的にはまず、蒸留塔の20段目くらいに石油原料を入れて下から熱を与えます。釜を焚くわけです。石油の中にはメタン、エタン、プロパン、ブタン等々…多くの成分が混在しているのですが、熱を与えることによって各段で成分ごとに蒸発が始まり、軽いもの(気体)は上に上がって、重いもの(液体)は下に落ちていきます。蒸留塔の中は40段に分かれていて(40釜あると思ってください)、上の段に行くほど軽いものが増えていく。そして最上段から取り出したガス(高濃度プロパン)を外部の冷却器で液体にして回収し、残りを塔の上部に返し再分溜にかけるわけです。最下段のトレイからはこの逆で、一番重いブタン以上の成分(液体)を抜き出し、外のボイラーで熱をつけて残りを再度塔の下部に返して再分溜に回します。要するに、上と下から少しずつ成品を取り出し、残りを塔に返し、ぐるぐる何度も回し最精製し成品の収率を上げていくわけです。ここで8段目くらいに温度計をつけておき、その温度によってどのくらい下から熱をつけ、どのくらい上で冷却し、どのくらい環流させれば収率が上がるのかを決めるのが温度コントロールシステムです。うまく温度を通してプロパンの収率をコントロールする最適システムが、実プラントを動かすことなく決められれば利益に結びつく…そこで温度、成分の時間変化を追うシミュレーションモデル作りに取り組んだわけです。

    ではモデルはどうやって作るのか? まず蒸留塔、ボイラー、冷却器、ドラム(タンク)を100くらいのブロックに分けます。そしてブロック内は温度、成分等はすべて均一と仮定し、ブロックごとに各成分が異なった気液平衡に達しているとします。つまり、各釜ごとにうどん、そば、そうめんの出入りを計算してやると考えればわかりやすいでしょう。ここで時間t=0での初期条件をブロックごとに与え、次に△t(30秒後)の時点を考えれば、各ブロックごとに上下のトレイ間で成分が動き、熱収支と物質収支はとれているはずですから、△t後のブロックの温度と各成分の量(気体、液体別)が決まります。そして次はこれを一歩進め△2t後を計算していく…というモデルになります。わかりやすく言えば、30秒ごとに各40の釜のうどん、そば、そうめんの温度と量を計算するモデルなのです。

    難しく言えば、時間の要素が入ってきますから連立微分方程式を解くことになる。当時(1973〜74年頃)はまだスーパーコンピューターはありませんでしたが、私の会社は当時の世界最先端のコンピューターが入っていたのでそれを使い(それでもモデルが大きすぎて夜でないとコンピューターが走らないという状態でした)、結局1〜2年をかけて700〜800の連立微分方程式を解き、1500ステップを超えるおそらく世界で初めての「多成分系ダイナミックシミュレーションモデル」を作ることに成功しました。その結果、成分収率が上がり、蒸留塔1本当たりの収益は年間1億円アップ、合計十本のタワーで年間十億円くらいの利益を生み出すことに成功したのです。ちなみにそのモデルは社内では「論文にして発表すれば××賞候補になるのではないか」という評価を得ましたが、後述のエクソンのビジネスの重要なノウハウを公開するわけにはいかない、ということで当然社外秘となり、今もエクソンで活用されています。

    地球温暖化に関するいろいろな本を見る限り、IPCCの報告書にあるモデルも基本的には同じような考え方で作られたものだ、と思います。すなわち、地球は半径が6400kmくらいの球体ですが、その表面を平面に広げると、大ざっぱに5億平方キロメートルくらいの平面になる。それを例えば100km四方ごとくらいに正方形の升目に区切っていくとすると、5万個くらいのブロックに分かれる。モデルは3次元ですからこれに成層圏まで1万mまでの高さを加えて、これも例えば500mごとに区切っていく。すると、縦横100km、高さ500mのブロックが100万個積み重なった直方体ができますね。そして、一つのブロックの中では状態が一定だとして、各ブロックの中の熱の放射対流モデルを作るわけです(この1個のブロックを小さくするほどデータの精度が上がることになる)。つまり上下左右のブロック間である時間△tの間に熱と物質(CO2等)の移動が起こり、それを数式化すればよいということになります。まず太陽から来た熱が10km上空の界層圏で最上部のブロックに受け渡され(一部は反射)、それが地域や高度ごとに熱が違う伝わり方をする。また大気が対流すると温室効果ガスも対流するため、熱の伝わり方が違ってくる。それを数式化し、ブロックごとにマテリアル(物質)バランスとヒート(熱)バランスの等式を作ってやる。蒸留塔のケースと同じです。ただし、私は気象学の専門家ではありませんので、この理論数式化がどのくらい妥当性を持っているのかはここでは評価できません。次に、時間がゼロ(t=0)の時点でシミュレーションして出た値を、今度は時間を一歩進めて、△t後(例えば30分後)にマテリアルバランスがどう変わり、ヒートバランスがどう変わるかを計算し、それをどんどん進めて100年後に気温がどうなるかを予測する…。この気の遠くなるような大きなモデルを、彼らはスーパーコンピューターを使ってシミュレーションしたのではないかと思うのです。しかし、そこには一見しただけで致命的な大きな欠陥がいくつか見えてきます。

    IPCC報告書のシミュレーションモデルには根本的な欠陥がある

    こういうモデルを作る時には、絶対に必要なステップが4つあります。それは、
    (1)過去の十分な実測データを集めること
    (2)物理メカニズムを明らかにすること
    (3)コンピューターモデルに落とし込むこと
    (4)実態の系で実験を行い、その結果がモデルの計算結果と合致するかどうか、を検証すること
    です。まず十分な実測データがなければシミュレーションができないことは言うまでもありません。次に、物理メカニズムを明らかにするというのは、簡単に言えば理論に基づいて方程式を作ることです。ただしそれは、ニュートン力学をはじめとする各種の熱力学の法則、すなわち古の学者によって証明された物理と化学の定理に則って、現実の物理メカニズムを方程式に表さないといけない。つまり普遍の定理で表される、誰が見てもなるほどと理解できる方程式を使ってメカニズムが表現できなくてはいけないのです。その後、その方程式をコンピューターモデルに落とし込み、初期値を入れればコンピューターで解けるようにする。最後は実際の系で実験を行い(私のケースで言えば、工場のデプロパナイザーに大きな外乱を入れてみて温度、成分の時間変化を実測しました)、その結果とコンピューターシミュレーションの結果が合致するかどうか確かめる。そうして初めて、モデルが完成したことになるわけです。ところが、私の見る限りIPCC報告の気象予測モデルは「実測データ」と「物理メカニズム」と「モデルの検証」に大きな欠陥がある。極論すれば「モデルの体を為していない」のです。

    モデルの前提となるデータがない

    まず気象モデルの場合、第1ステップの「実測データ」がほとんどないのではないかと思います。IPCCは過去100年間で温度、CO2が云々と言っていますが、そもそも過去100年間の世界中の気温のデータなど、ましてやCO2のデータなど、どこにあるのでしょうか? もちろん推測データとしては植物の放射性同位元素から推測するとか、花粉の量から推測するとかいろいろな方法がありますが、いずれにしろ「実測データ」というにはかなりばらついた精度のない推測値しかとれないはずですし、その後地形が変わったり海流が変わったり、あるいは火山の爆発等でもデータは大きく変化してしまう。ある程度信頼できるとすればここ10年くらいの間にとられたデータでしょうが、それも各地に点在する気象庁レベルのデータしかないわけですから、先述した細かいブロックごとのデータ等あるはずがない。すると、基本的にモデルを作るのに十分な実測データはないに等しいのです。それでいったいどうやって理論式を導き出すのでしょうか?

    データの欠落から派生する問題点を言えばもう1点、気温に影響する大きな要素を無視せざるを得なかった、という問題があります。1つは先述した「雲の影響を無視している」ことです。おそらく、「どういう雲が、いつ、どの高さにできるのか」についてはほとんどデータなどとられていないために「雲の量は一定とする」という前提を与えたのでしょうが、そんな大きな要素が抜けているモデルではお話になりません。さらにこのモデルは、海の影響も無視しているのです。海を「表面で放射だけが起こる物体」つまり「浅い水たまり」のようなものだと考えている。しかし、海は1万mもの深さがあり、底は全く温度が変わらない、いわば巨大なアイスボックスのような強烈な冷媒なのです。また、海流の気温への影響も決して無視できない。しかも海流は刻々変化する…しかし、そんな実測データはどこにも存在しない。だから、海は地球の表面の70%をも占めているというのに、その影響を全く排除せざるを得ない。すなわち、第一ステップの時点で「十分な実測データがない」、そのため「雲と海という重要な要素が無視されている」という、根本的な問題を抱えたモデルだということがおわかり頂けると思います。

    物理化学の法則をパラメーターでねじ曲げている

    さらにひどいのは、第2ステップの「物理メカニズムを明らかにする」部分です。ここでは物理化学の法則に則ってメカニズムを数式化しないといけないのですが、彼らはそこに「パラメーター(変数)」を使っているのです。小さいモデルでも20〜30種類、大きいモデルになると100種類ものパラメーターを使っている。パラメーターというのは、物理法則、理論に基づいた式だけでは現状を説明できない時に、つじつま合わせのために使われる定数や補助式です。要するに使う人が恣意的な経験則から決めているようなものですから、パラメーターをいじれば、極論すればいかような結論を導き出すことも可能になります。例えば、報告では太陽から来た熱が成層圏と大気圏の境目あたり(地表からの高度10kmくらい)で地球に受け渡され、そこから「温度減少率 6.5度/km」と書いてありましたから「地上10kmから高度が1km下がるごとに6.5度ずつ温度が落ちていくと仮定する」というパラメーターを温度を決めるのに使っているわけですが、物理化学の法則では、温度はヒートバランスとマテリアルバランスで決まる従属変数のはずでしょう? そこにパラメーターを使ってしまうと「普遍の法則は何だったんだ」ということになる。おそらく気象現象が複雑すぎて簡単な理論式では現実との乖離が大きくなって説明がつかない、従って、別のロジック(パラメーター)を使わざるを得なかったのでしょう。

    もっと極論すれば、これは推論ですが、彼らは初めに例えば「100年後に6度上がる」という結論ありきで、物理化学の法則だけではその結論に至らないため、恣意的なパラメーターをいろいろ使って数値の補正をしたのではないでしょうか。しかもそうした「補正のためのパラメーター」を100も使えば、結果はどうにでもいじれる。私なら「100年後に10度、20度上がる」という結論でも自由に出してみせますよ。実際に1970年代の後半に、ある研究者がIPCCモデルを使ってシミュレーションし、「100年後に大西洋の水位が6m上がり、ニューヨークもワシントンも水没する」というパニックストーリーを発表して物議を醸したことを覚えています。

    ちなみに、私が「多成分系ダイナミックシミュレーションモデル」を作った時に使ったパラメーターの数は「ゼロ」です。エクソンには石油分溜装置に関する過去100年間くらいの世界中のエクソングループのすべてのデータが「ブルーブック」という分厚いデータブックに収められています。これはエクソンのノウハウそのもので、そこにはすべて物理化学法則によって証明された上に実験室や実際のプラント実験で確かめられた定数、関数の理論的な数値が載っています。私はすべてそれを使ってモデルを作成しましたので、パラメーターは一切使っていません(そのため公表できなかったのですが…)。それとIPCCモデルを比較すれば一目瞭然、その根拠が誰にもわからない恣意的なパラメーターを100も使って出した結論が、とうてい信用できないものであることがおわかり頂けると思います。

    最後の第4ステップの「モデルの検証」については言わずもがなでしょう。今の地球でCO2濃度を100ppmレベルで上げる外乱が入った時、各ブロックごとに温度がどう変化するか等、どうやって実験するというのでしょう? 検証のしようのないモデルなど、動かないハイテクカーと同じです。私の場合は工場でデプロパナイザーに外乱を与え、温度、成分の時間変化を実際に追い、モデルの正当性を検証しましたよ。

    「風桶モデル」になっている

    「物理メカニズムがいい加減だ」という話はまだまだあります。「100年間で最大6度上がる」という結論に導くための仕掛けとして、論理が「風桶モデル(「風が吹いたら桶屋が儲かる」風の論理展開)」になっていることを指摘しておきます。モデルの内容をよく見てみると、至る所に論理の「増幅装置」が入っている。例えば彼らのロジックの一つは、まずCO2が増えると温室効果で気温が少しだけ上がる。気温が上がると海の中の水蒸気が大気に溶け出す。水蒸気というのはCO2の100倍もの温室効果ガスへの影響があるから、また気温が上がる。するとまたCO2と水蒸気が上がって温室効果が起こり…という風桶モデルになっている。ちなみにこのロジックの最初の「CO2が増えると気温が上がる」というところにも素朴な疑問が出てきます。コーラを温めたら泡が出てくることでもわかるように、「気温が上がると海の中のCO2が大気中に出てきてCO2が増える」と考えるのが科学を志す者の常識なのですが、風桶モデルでは「CO2が増えると温度が上がる」となってしまう…。まあここでは「ニワトリが先か、卵が先か」の話は置いておきましょう。いずれにしろ、報告ではCO2の増加から水蒸気に展開してどんどん温室効果を増幅している。それを100年も増幅し続ければ、結果的にどんな異常な数字が出てきてもおかしくありません。

    さらにモデル内ではこういうロジックも展開されています。南極や北極の氷が溶けると、地表の白い部分が減り、海の青い部分が増える。すると、白は太陽の光を反射するが、海の青い色は反射率が低いから気温が上がる。気温が上がるとまた水蒸気が発生して、温室効果ガス現象が大きくなり…という風桶モデル。まだあります。気温が上がるとシベリアの凍土が溶ける。すると凍土の下にあるメタンハイドライドが出てくる。メタンガスも強力な温室効果ガスだからまた気温が上がり、水蒸気が発生し…という、これも風桶モデル。結局すべてのことが気温上昇に結びつけられ、それが30分なのか1時間なのかわかりませんが彼らの設定したタイムステップごとにスーパーコンピューターの中で繰り返され、数値がどんどん増幅されていく仕掛けになっているのです。

    そもそも、地球とか自然とかいうものにはそうした気温を上げる方向の動きもありますが、逆に気温を下げる動きも必ずあるのです。先述の雲も海もそうですし、水蒸気も上がれば雲ができて温度を下げる方向に働くし、雪が降れば気温が下がります(例えば南極の氷が溶けて上がった水蒸気は、南極では必ず雪になって再度降ってきますよ)。しかしそういう気温を下げる要素を無視してプラス方向の要素だけを「風桶」で展開し、それを100年間もシミュレーションすれば6度上がるくらいの結論はすぐに出せる、と知るべきです。いずれにしろ、「CO2を悪者にする」というIPCCの狙いに乗っかるため、予算の欲しい研究者があの手この手を使ってIPCCお気に入りの報告をまとめたのだろう、というのが私の推測です。残念ながら、十分な実測データもなく、恣意的なパラメーターを100も使い、検証作業もない、そんなモデルではいくらスーパーコンピューターを使っても歪んだ結論しか出てこないのは明らかでしょう。ただ、あと10年もすれば、実際の温度は上がらないはずですから、事実が彼らの報告の間違いを明らかに実証してくれると思います。

    (3)政治が乗り出してきたことの怪しさ

    3つ目に私がおかしいと思い始めたのは、地球の温暖化という科学的な問題に政治が絡んできたからです。政治家というのは科学音痴の典型だと私は思っていますが、その科学のわからない政治家が乗り出してきたということは、その時点でこれは科学問題ではなく政治問題となってしまったのです。つまり、科学問題が「理屈抜き」の世界に入ってしまったのです。

    そもそも「CO2を原因とする地球温暖化の危機」なるものを最初に言い始めたのは科学者ではなく、イギリスのサッチャー政権だと言われています。サッチャーが政権を取った1979年のイギリスはいわゆる「イギリス病」と呼ばれる労働意欲停滞を伴った不況のまっただ中で、政府は自由競争原理導入の改革の一環として炭鉱労働者の大量解雇とともに、エネルギー政策として原発へのシフトを進めようとしていた。ところが同1979年にスリーマイル島の原発事故が起こり、1986年にはチェルノブイリの原発事故が起こって、原子力発電に強い逆風が吹き始めた。そこで、「石炭は悪、原発は正義」という世論を盛り上げる理屈を探っていたところ、「CO2を原因とする地球温暖化の危機」という実に効果的なロジックを発見し、その後、イギリスを中心とするヨーロッパの働きかけにより、1988年に国連環境計画と世界気象機関の共同でIPCC(気象変動に関する政府間パネル)が設立され、この眉唾の報告書が次々に発表されてきた、と私は推測しています。

    この温暖化議論に政治家がどのように乗っかってきたかは、例えば元アメリカ副大統領のアル・ゴア氏主演の映画『不都合な真実』を見れば象徴的にわかります。映画の内容はデータを誇張したり事実誤認をそのまま使ったり、ホッキョクグマが泳いでいる映像で「北極の氷山が溶けてホッキョクグマが行き場をなくしている」という恣意的なメッセージを出したりという、いわば自分の政治的主張のプロパガンダ映画のようなものに仕上がっています。加えて今日のエコブームも、そして京都議定書に端を発する世界的なCO2削減の動きも、科学音痴の政治家が実態もわからずに動いて作り上げてきた結果でしょう。そして、最後の仕上げとしてそれに科学音痴のマスコミが乗っかってますます煽ってしまった。(4)のマスコミの無知と無責任さについてはQ174等を参照してください。ここではスペースもないのであえて触れません。バカにつける薬はないからです。結局、国連、スーパーコンピューター(御用学者)、政治、マスコミの4者が「風桶」の増幅を繰り返していい加減な議論を巻き起こしてしまったのが、今の「CO2を原因とする地球温暖化の危機」騒動の構図だ、というのが私の認識です。

    温暖化はいけないことなのか?

    ではここで原点に返って、もっと根本的な疑問について考えてみます。百歩譲って今、地球が温暖化しているとして、では、はたして温暖化はいけないことなのか? という疑問です。私は、寒冷化より温暖化の方がずーっとましだと考えています。なぜか? それは、これからの人類が抱えている最大の問題が「食糧問題」と「エネルギー問題」だからです。今、地球上に人類が60億人以上いるわけですが、今の太陽エネルギーで育つ農作物をはじめとするすべての食べ物で養えるのは、20〜30億人だと言われています(だからアフリカ等では日常的に栄養不足で餓死していく人がいるのです)。もし地球が温暖化すると、例えば北海道で米がとれる。南の方では二期作で、また農作物の増産ができる。つまり温暖化は食糧問題の解決にプラスに働くことに気づいてください。すると、温暖化はむしろ望ましいことになりませんか?  結構な話じゃないですか? 逆に寒冷化すれば農作物はとれなくなるし、寒いとエネルギーもたくさん必要になるのですから。

    今、温暖化によって起こる危機的状況として、ホッキョクグマの住み処が減るとかサンゴが被害を受けるとか、あるいは南の小さな島が沈むとか、数多くの非合理的な話が出ていますが、百歩譲ってそれがCO2の所為だとしても、それらはほとんど全て「移動」すれば解決することばかりです。地球の歴史は千年単位で見れば温暖化と寒冷化の繰り返しで、その気候の変動に対して人類も動植物も「移動」で対処してきたのです。日本人のルーツだって寒さを避けて大陸から移動してきたのでしょう? 自分の住んでいるところの気候がいつまでも一定に保たれなければならない、などという考えは、それこそ人類のおごりだと思います。

    ちなみに一方では、地球はこれから寒冷化に向かうという説もあります。地球の温度に一番大きな影響を与えるのは、太陽からの熱ですね(それしか熱源がないのですから)。太陽は黒点の数が多いほど活動が活発であることは観測から証明されていますが、黒点の数は大体100年を周期として増減を繰り返しているのが、過去のデータからわかってきています。そして直近の1900年から2000年までの100年間は黒点の数が増える周期にあったのが事実です。そうすればこの2000年からの100年間は減る時期に相当する…寒冷化に向かう、という予測の方が私には説得力がありますが。

    また、地球は強力な磁気を出していて、その磁気が地球に降り注いでいる宇宙線をブロックする働きをしています。宇宙線が気象に影響を与えることは間違いないのですが、最近では地球に届く宇宙線の量が多いと雲ができやすいという有力な説がある。ところがその地球の磁気がこの40年間次第に減り続けていると報告されています。すると宇宙線をブロックする力が弱まり、宇宙線の量が増えて雲ができやすい状況になることが予想される。

    すなわち、太陽の黒点の数の減少や地球の磁気の減少等によって、実は地球はこれから寒冷化に向かうのではないか、という説です。もちろん将来のことですからどうなるかわかりませんが、「CO2が1年で1ppm増えて気温が0.004度上がる」という話より、黒点や宇宙線の影響の方がはるかに大きいであろうことは、誰にでも感覚的にわかるのではないでしょうか? 少なくとも私には、あんな穴だらけの地球温暖化のシミュレーションよりはこちらの方がまだ信じられますが…。いずれにしろ、食糧問題とエネルギー問題に対処するためには、温暖化対策よりも寒冷化対策の方がはるかに重要だろう、というのが私の意見です。もし万一、10年後くらいに地球が寒冷化し始めたら、政治家やマスコミは今度は「どんどんCO2を出せ」と言い出すのでしょうか?

    食糧とエネルギーはすぐ今の2倍必要になる

    ここで、食糧問題とエネルギー問題の重要さを数字で認識するために、少し簡単な計算をしてみましょう。人間というのは炭素と水素で構成される食物を食べ、呼吸をしてそれをCO2にして出すという、言わば車と同じような内燃機関です。その「内燃機関」が今、地球に約68億人いるわけです。人間が出すCO2の量を熱量換算すると、1人あたりの1日の基礎代謝カロリーが2000kcalくらいで、あといろいろ動くので平均1人1日3000kcalだとしましょう。これに68億人をかけると、1日約20兆kcalになります。つまり、人が最低限食っていくためには1日20兆kcal必要だということです。しかし、今供給されている食物は10兆kcalくらいだと言われていて、全然足りないのです。すぐ2倍必要なのです。

    一方、石油の消費量は世界中で1日8500万バレル、石炭は1日50億トン消費している。この燃焼熱は合わせて約200兆kcalです。単純計算すると、人間は生きていくのに世界中で20兆kcal必要なところを、200兆kcalのエネルギーを使っている、つまり、車に乗り、クーラーをつけ、物を買い、美食をして、生きていくのに必要なカロリーの10倍も贅沢をしているということになります。しかも、実際は10倍ではありません。まず、68億人のうちの20億人以上は電気もない生活をしている。さらに20億人くらいが1日100ワットくらいのエネルギーしか使っていない。つまり、これらの40〜50億人はほとんど、石油と石炭の200兆kcalを使っていないわけです。ということは、その200兆kcalを使って豊かな生活をしているのは残りの約20億人だけだということになります。つまり、豊かになった人々は自分の生きていくのに必要なカロリーの30倍以上も贅沢している!

    ところが今、大きな人口を抱えた中国やインド等が「みんなを豊かにしよう」という方向に動いていることはご存じですね。今、中国の「豊かな人」はせいぜい1〜2億人くらいですから、あと10億人くらいがこれから豊かになろうとしている。インドも「豊かな人」予備軍は10億人くらいいるとすると、中国とインドが豊かになるだけで新たに20億人の「豊かな人」があっという間に出てくることになります。すると、エネルギーはさらに200兆kcal、つまり今の2倍必要になる。食糧問題とエネルギー問題は、この「貧しい人が豊かになろうとする」というところに根本的な原因があるわけです。しかし、貧しい人に「豊かになるな」と言うのは人の性として不可能ですし、人道的にもできることではありません。また、人口を減らせるのなら根本的な解決になるでしょうが、それも当然、人道的に無理がある。すると、早急に取るべき手段は「食糧の増産」と「エネルギーの増産」しかないのです。

    まず食糧の増産については、地球が温暖化して広範囲で農作物がとれるようになればそれに越したことはないのですが、これまでお話ししたように地球の温暖化の話はどう考えても怪しい。すると、一つ考えられるのは遺伝子組み換えによる食糧増産です。今、世界の寒い地域では太陽エネルギーが少なくて農地になっていないところがたくさんあるわけですが、遺伝子組み換えによってそこでも育つような耐性を持った米や小麦を開発すれば、かなり飛躍的な食糧増産が可能になるでしょう。

    また、エネルギー問題については、太陽光発電や風力発電ではバックストップエネルギーにならない、根本的に解決するには原子力発電しかない、ということはこれまでに何度もお話ししてきました(Q127128参照)。ただし、今の軽水炉による原子力発電には「核廃棄物プルトニウムの処理」という大きな問題があります。プルトニウムには強力な毒性があり、半減期が数万年と言われていますから、地中に埋めても容器が壊れて流れ出す危険がいつまでもつきまとう。従って、プルトニウムの出ない高速増殖炉の開発が、その冷媒のナトリウムが危ないというのであれば溶融塩方式の新原子炉の開発等が、最大の課題となってきます。

    こう考えてくると、世界が優先的に取り組むべき課題もはっきりと見えてくるのではないでしょうか。今、CO2の削減のために世界中で300兆円も使わないといけないと言われていますが、そんなムダなお金を使うのなら300兆円すべてを食糧問題とエネルギー問題に使うべきだ、具体的には「遺伝子組み換え農作物の研究」と「プルトニウムを出さない原発の開発」に注ぐべきだ、というのが私の意見です。CO2などどんどん出してよろしい。ハイドロカーボン(CとH)資源などいずれ長期的には全部CO2になってしまう運命なのですから。

    石油は効率のいい用途から優先的に使うべきだ

    もう一つの私の提案は、新原子力発電の技術開発ができるまでの石油の使い方についてです。今、石油は世界で最も貴重な資源であることは言うまでもないでしょう。燃料としての用途はもちろん、プラスチックをはじめとするさまざまな化学製品等、私たちの生活の材料はほとんど全て石油から作られている、あるいは何らかの形で石油が関わっている。石油がなくなるとほとんどの生活が成り立たなくなると言っても過言ではありません。従ってこの貴重な資源は当然、効率のいい付加価値の高い用途から優先的に使うべきですね。では何を優先すればいいのか? その合理的な優先順位をそろそろはっきりしておきませんか、という提案です。

    石油の最も効率の悪い使い方とは、ただ燃やしてしまうこと(発電、自動車、暖房等)です。逆に効率のいい使い方は化学製品にすることでしょう。従って、石油は化学製品にすることを最優先にすればいいと思います。唯一、石油の成分の中で重油は化学製品にするのが困難なので(化学製品にするためにコーカーを使い分解するのにより大きなエネルギーを必要とする)、これは燃やして燃料に使う。CO2排出なんて気にする必要はないのですから。しかし、ガソリンは車の燃料として燃やしてしまうのではなく、ナフサとして化学製品に用途変更する方が長期的には効率的となります。従って、車はガソリン車から電気自動車に移行してガソリンを燃やすのをやめる。電気自動車はガソリン車よりトータルとしてエネルギー効率は悪いのですが、その代わり貴重な石油が付加価値の高い化学製品に回せるのならそちらを優先するわけです。灯油も軽油もいずれは石油化学に優先して使うことになるでしょう。その技術開発(そう難しくない)にも着手すべきです。

    では、電気はどうやって作るのかというと、今石油を使っている火力発電所の燃料は、化学製品になりにくい重油と石炭と天然ガスおよび水力発電に限定する。石炭や天然ガスも今の技術では化学製品にするのが高くつくので、今はとりあえず燃料に使うわけです。そのうち重油や石炭、天然ガスを安く化学製品にする技術が開発されれば、それらも化学製品を作るために用途変更していく。当然、現状でもてはやされている太陽光発電や風力発電等への移行はストップしなくてはなりません。天然ガスや石炭や水力発電に比べ極端に割高だからです。そんな金があればすべて新原子力と遺伝子組み換え食物に回すべきなのです(ただテクノロジーブレークスルーが起これば話は別ですよ。従ってR&D=研究開発=は止めはしません)。そうやって、プルトニウムの出ない原子力発電の技術が完成するまでのつなぎとして、石油の使い方に効率のいいものから優先順位をつけて用途を分けていくのです。ちなみにトウモロコシやエタノール(酒)を車の燃料に使うなどというのはとんでもない話です。食糧不足なのですから、人間が食べられるものは優先的に人間が食べるべきなのです。

    日本は独自のエネルギー戦略を世界に打ち出すべきだ

    最後に、京都議定書に端を発するCO2削減騒動について、日本政府はどうするべきかを考えてみましょう。現状を確認しますと、まずCO2が「地球温暖化の元凶ではない」ということはほぼ間違いない。従って日本はまず「IPCCの報告は間違いである。日本は曲学阿世の徒の妄言には乗らない。だから日本はCO2削減は行わず、独自のエネルギー対策と食糧対策をやる」と宣言すればいいのです。世界がCO2削減をやるというなら、自由にやってもらえばいい。競争上の差別化につながりますし、また日本に負い目はありませんよ。

    京都議定書に参加した各国の限界削減費用(CO2 1トンを削減するのにいくら費用がかかるか)によると、日本は476ドルかかるのに対し、EUは135ドル、アメリカが60ドル、カナダが110ドル、オーストラリアが46ドル、中国は0ドルとなっています。つまり、日本はすでに省エネルギーを突き詰めているため、これ以上の省エネをやるためにはさらに高度な技術が必要になるから高くつくのです(ただし、省エネの中にも非合理的でやらなくてもよかった役に立たない省エネもたくさんありますので、この数字は決して威張れるものではありませんが)。これは言い換えれば、限界削減費用が高い国ほど省エネをすでに高いレベルで実践しているということに他なりません。従って日本は堂々と「我々は皆さんが476ドルになるまで待っています」と言えばいいのです。残念ながら現実は鳩山氏が「1990年比でCO2を25%削減する」という、世界で一番バカなことを宣言してしまいましたが…。しかし、彼はどうせ発言がぶれる人なのですから、今後は国のために前言撤回を堂々とやってもらえばよいと思います。

    長くなりましたがまとめますと、
    ・「CO2の増加で地球が温暖化する」というIPCCの報告は全く信用できない
    ・人類が今優先的に取り組むべき大問題は地球温暖化問題ではなく、「食糧問題」と「エネルギー問題」だ
    ・日本はCO2削減にお金をつぎ込むことをやめ、それを独自の食糧対策とエネルギー対策(原発、遺伝子組み換え作物の研究)に向けるべきだ

    というのが私の意見です。