書籍

なんしょんな!!香川・PARTT
なんしょんな!!香川・PARTT
「行政の役割」水は誰のものか/人の渡らぬ橋、車の走らぬ道/広い家 他
1,200円(税込み)
有料会員のみ閲覧できます
なんしょんな!!香川・PARTU
なんしょんな!!香川・PARTU
「高齢者対策の処方箋」
1,200円(税込み)
有料会員のみ閲覧できます
なんしょんな!!香川・PARTV
なんしょんな!!香川・PARTV
「教育の危機」学校教育の危機/崩壊する家庭教育/的外れの企業内教育
1,200円+税
有料会員のみ閲覧できます
なんしょんな!!香川・Q&A BOOK
なんしょんな!!香川・Q&A BOOK
「Q&A」行政の役割/水問題/交通問題/時事
800円(税込み)
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKU
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKU
この本は、都村長生氏の政経塾「長生塾」とそのホームページに寄せられた質問に対し、都村氏が答えた内容をまとめたものです
800円+税
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKV
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKV
この本は、当ホームページに寄せられた質問に対し、都村氏が答えた内容をまとめたものです。
100円+税
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKW
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKW
この本は、当ホームページに寄せられた質問(2003年5月〜2007年3月)に対し、都村氏が答えた内容をまとめたものです。
100円+税
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKX
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKX
この本は、当ホームページに寄せられた質問(2007年5月〜2008年12月)に対し、都村氏が答えた内容をまとめたものです。
100円+税

POST長生塾スタートのお知らせ

なんしょんな Q&A詳細

  • 【212】 原発事故の分析(2)(2011.6.10) (市川市 匿名希望)
     東電の原発事故について、色々な情報が錯綜して何を信じて良いのかが分からないので、質問させて頂きます。
    第一に、2011.5/27に東電第一原発所吉田昌郎所長は、実は、政府の指示に従わずに海水を注入し続けたと新聞報道されております。しかし、それでも建屋が水素爆発により吹っ飛びました。これは原子炉の構造そのものに原因があって起こったのでしょうか。それとも手遅れだっただけなのでしょうか。それとも偽証なのでしょうか。
    また、原子力安全委員会や原子力保安院の組織改革が必要であると思います。理由は、斑目原子力安全委員長は、メルトダウンは早い段階で知っていたと発言していながら、国民には知らせていないというご自身の役目を認識していない人が権限だけは持っているが責任は取らない現在の制度に疑問を感じます。また、マスコミも体制そのものに切り込まないように思います。
    今後、エネルギー政策として、原発の維持管理、安全を確保する組織はどのように再構築したら良いのでしょうか。現在の公務員制度のままでは、他の省庁のように、大臣が変わればまた戻ってくる、このような事のないような組織づくり制度作りも同時に期待したいのですが、公務員改革も含めてあるべき姿の回答をお願い致します。
  •  質問が少し整理されていませんので、
    (1)吉田所長が政府の指示に従わずに海水を注入し続けたけど爆発したのはどういうことか? 
    (2)原子力安全委員会や原子力安全・保安院の現状の組織制度には問題があるのではないか?
    (3)原発の安全を確保する組織は、公務員改革も含めてどう構築すればいいのか?
    の3点について簡単にお答えします。

    水素爆発が起こった時点ですでに手遅れだった

    まず、1つ目の吉田所長が取った行動についてのご質問ですが、「海水を注入し続けたのに水素爆発が起こった」のではありません。事故の経過は、3月11日15:00頃に地震と津波が発生し、翌12日の15:30頃に一号機が水素爆発、その後、同日19:04に海水注入開始、と報道されていますから、水素爆発が起こってから海水注入が始まったのですよ。そして、この経過の中でどこに一番の問題があったのかというと、これまで何度も申し上げていますように「地震と津波が発生してから一号機の水素爆発までの間」、つまり「水素の発生が確認された時点での海水の注入」が遅れたことにすべての原因がある、というのが私の見解です(Q204Q205参照)。

    今となってはすべて“タラレバ”の話ですが、水素の発生が確認された時点で、まず真水を注入する、真水が止まったなら直ちに海水を注入する、これが被害を最小限にするための唯一の正解でした。ところが、その大事なemergency時の初期対応でもたついたために、海水の注入に1日以上もかかり水素爆発が起こってしまった。ちなみに、この経過の中で「吉田所長はどのように考え、どのような行動を取ったのだろうか?」については、同じプラントエンジニアを少し経験した私の推測をQ204で詳しく述べました(Q204の中ではチーフエンジニアという言葉を使いましたが、今から振り返れば吉田所長がそれに当たる人物のようですね)。

    すなわち、吉田所長は水素の発生を確認した時点で「すぐにベントして水を注入しろ!」と指示し、真水の注入ができないとわかると「すぐに海水を注入すべきだ!」と判断したに違いない(プラントエンジニアなら誰でもそう判断します)。しかし、彼には海水を注入する(数千億円のプラントを壊してしまう)という権限がなかったため、トップ(東電社長あるいは菅首相、この責任が曖昧なのが問題だということもQ204205で何度も述べました)に判断を仰いだところ、現場のことが何もわかっていないトップたちが即断できず、躊躇しているうちに水素爆発が起こってしまったのでしょう。

    従って、今回の原発事故に対する対応は、水素爆発が起こった時点ですでに根本的に手遅れなのです。爆発の後トップから海水注入の指示が出され、今度はそれにストップがかかり、吉田所長がその命令を無視して海水注入を続けた…というゴタゴタに関しては、事実関係がどうであれ致命的な問題ではない、「やらないよりはやった方がいい」というレベルの話だ、というのが私の正直な見解です。いずれにしろ、これまで何度も申し上げてきましたように、「emergency時にはプラントのことを一番よく知っているチーフエンジニアにすべての意志決定の権限を与え、起こった結果に対する責任はすべてトップがとる」というのが装置産業のemergency時における対応の鉄則であり、その体制がなかったことが今回の事故の一番の問題なのです。

    emergency時には学者は何の役にも立たない

    2つ目の「原子力安全委員会や原子力安全・保安院の現状の組織制度の問題」について、巷で喧しい実行機能(経産省)とチェック機能(保安院)が同居しているという組織上の矛盾も確かにあります。また、ご質問にある「権限は持っているが責任は取らない現在の制度に疑問を感じる」という組織運営システムも問題でしょう。しかし、私に言わせれば最大の問題点はもっとプリミティブなところにあります。すなわち、保安院や安全委員会のメンバーが「権限はあるが能力がない」ということです。これは組織云々以前の問題でしょう。

    これは先の「チーフエンジニアに全権を与える」という装置産業でのemergency対応の鉄則がなぜ採用されたのか? を考えれば、自ずと問題点が浮かび上がります。すなわち、一言で言えば「emergency時には、原子力安全委員会や原子力安全・保安院は全く役に立たない」のです。なぜか? 原子力安全委員会や原子力安全・保安院というのは、大学教授や技術系の役人で構成されています。しかし、彼らは机上の理論には詳しいのかもしれませんが、プラント現場のことがほとんどわかっていない。だから、emergency時に緊急のデシジョンが全くできないのです。もう少し詳しく見てみましょう。

    原発でemergency時のデシジョンを行うためには、必要なスキルが4つあります。それは、
    (1)原子力工学、化学工学に対する知識があること。
    (2)自分でプラントの設計をしたことがあること。
    (3)かつ、自分の設計したプラントの建設工事工程をマネジしたことがあること。
    (4)プラントのオペレーション(運転)をやったことがあること。
    の4つです。簡単に説明しますと、まず、知識なくしてプラントのオペレーション(運転)はできませんから、最低限の原子力工学、化学工学の知識は必要になります。しかし、「知識があること」と「デシジョンができること」は全く別物です。正しい意志決定への第一歩はプラントの全貌を理解することですから、次に「設計をしたことがあるかどうか」が必要なスキルとなります。続いて、設計だけではまだ机上の理論に過ぎませんから、「実際に建設工事現場に立ち会って確認、指示をしたことがあるかどうか」が必要になります。

    実際、私も少しだけ工事現場に立ち会ったことがありますが、設計時に理論的には理解していたことも、工事を一つ一つ見ると初めて「なるほど、実際はこういうふうに流れるから、ここはこういう角度でなければならないのだ、ここの厚さはこれくらいないといけないのだ…」という生きた現実がすごくよくわかってくる。そして最後にオペレーション(運転)を経験すると、プラントを動かすコツ、勘どころが肌でわかってくるのです。ちょうど自転車を乗りこなす時に、体重のちょっとしたバランスの取り方とかブレーキのタイミングとかは体に覚え込ますしかない…そんな感じと似ています。従って、この4つのスキルがプラントエンジニアのデシジョンには絶対に必要になってくるのです。

    ちなみに、この4つのスキルは、emergency時の意志決定においては(1)より(2)、(2)より(3)、(3)より(4)と、後ろに行くほど重要度が増してきます。特に設計、工事の立ち合い、オペレーションというプラントの実際を経験していない人は、実践的なデシジョン能力はほとんどゼロ、従って、現実的に何もデシジョンのできない、言わば「頭でっかちの赤ん坊」に近いレベルだと言えます。言い換えれば、プラントの現場では「深い化学工学知識等なくとも最後のオペレーション経験を豊富に積んだ者」の方が「知識だけは深いが現場経験がない者」よりはるかに優秀な意志決定者とされるのです。それが証拠に、エクソンの石油精製工場ではチーフエンジニア不在時に全権を任されるナイトスーパーバイザーは、高卒の学歴しかなくてもその重要な責務を十分に果たしています(Q205参照)。

    すると、原子力安全委員会や保安院を構成する学者たちのemergency時の意志決定能力がどのレベルなのか、もうおわかりでしょう。彼らはプラントの設計をしたこともなければ、お偉い方々ですから工事の現場に立ち会ったこともない(通り過ぎるだけの見学くらいはしたかもしれませんが)、ましてやオペレーションの経験等あろうはずもない。あるのは(1)の知識だけですから、emergency時には「赤ん坊」に近いデシジョン能力しか持っていないと言えます。例えれば、彼らの持っている「知識」というのは、言わば「畳の上で水泳を教えている」ようなものなのです。泳いだことのない人が「平泳ぎというのは、こういうふうに手足を動かして泳ぐ」という理論(?)を畳の上で教えているに過ぎない。そんなものを教わっただけで海に放り込まれたら、放り込まれた方はたまったものではありません。

    実例を一つ挙げましょう。かつて、国内で石油備蓄タンクの爆発事故があった時に(確か水島の三菱石油だったと思いますが)、政府が全国の石油精製プラントに安全基準の見直しを要請してきたことがありました。私のいた石油会社にも大学教授(「爆発現象論」という学問の専門家でした)が派遣されてきて、当社の清水工場をサンプルに事故が起こった時の爆発規模のシミュレーションを行いました。しかし、何とその教授は「清水工場のすべての石油やガスを一カ所に集めて火をつけたらどれだけの規模の爆発が起こるか?」を計算して報告書を提出したのです。その結果、「工場の周り半径5キロ以内には人が住めない」という非現実的な結論が導き出されてしまいました。

    石油精製プラントというのは、一つの蒸留塔が燃えても他の装置に燃え移らないための設計が、ありとあらゆるところに施されています。装置間を繋ぐすべてのパイプには複数のバルブが付いていますから、それを閉めるだけで油はストップし、被害は最小限に抑えられる。もちろん、大きな爆弾でも落ちてくれば全部が燃えることもあるでしょうが(それはプラントの爆発規模というよりほとんど爆弾の爆発規模ですよ)、現実的には工場内のすべての燃料が一度に爆発することなどあり得ないのです。しかし、そんな非現実的な計算をしゃあしゃあとして“科学的結論”を出すのが、現場を知らない学者の常なのです。

    組織の問題よりも、まず意志決定システムを変える

    従って、そういう「現場で使えない知識だけを持った人」がemergency時に現場のデシジョンをしようとすると、事態が悪化するのは火を見るより明らかです。これは組織の問題ではなく、当事者の能力の問題であり、無能な者に権限を与えている意志決定システムの問題なのです。例えば今回の事故においても、海水注入の判断に当たって原子力安全委員会の斑目委員長が「ここで海水注入をすれば再臨界の危険性があると言った」とか「いや、再臨界の可能性はゼロとは言えないという意味だ」とか、言った言わないの話になっているようですが、emergency時の現場では「可能性がゼロではない」などと言われても全く意味がない。「直ちに今、どうすべきか?」のデシジョンが必要なのです。ところが、誰も現場のことがわからないから知識だけが飛び交って緊急の結論に至らず、そうこうしているうちに水素爆発が起こってしまった。

    また、吉田所長が政府の指示に従わずに海水を注入し続けたことについても、結果的に、原発に対して一番の権限を持っているトップ(菅首相)が出した「海水注入を止めろ」という指示が間違っていて、指示に従わなかった現場の吉田所長の判断が正しかったという、まさにブラックジョークのような結果になってしまいました。これらはいずれも、トップのサポート機関である原子力安全委員会や原子力保安院のメンバーにemergency時の緊急の判断ができるはずがない、という現実の一例です。ちなみに、吉田所長の取った行動を「命令違反を犯した」と非難する声もあるようですが、装置産業の常識からすれば、そもそもオペレーションのわからないトップが現場に指示を出すこと自体が根本的に間違っていると知るべきです。

    繰り返しますが、emergency時のデシジョンができるのは学者でも役人でも政治家でも東電の社長でもない、現場を最もよく知るチーフエンジニアなのです。もちろん、チーフエンジニアも判断を間違うことはありますが、現場のわからない者がデシジョンするよりはるかにマシであることは言うまでもありません。それこそが、エクソンが100年を超す装置産業の事故の経験から学んだノウハウなのです。おそらく今回、吉田所長(チーフエンジニア)と原子力安全委員会や原子力保安院、政治家たちのemergency時のデシジョン能力は「ノーベル賞クラスの人材と小学生」くらいの差があったのではないでしょうか。

    いずれにしろ、原子力安全委員会や原子力保安院のメンバーはemergency時には役に立たない、emergency時に彼らに現場の意志決定の権限を持たせてはいけない、ということは十分おわかりいただけたと思います。従って、今後、原発の安全性を高める(事故が起こった時に被害を最小限に抑える)ためにまず緊急に行わなければならぬ対応策は、先述した「emergency時に現場のチーフエンジニアに全権限を与え、その結果起こったことに対してはトップがすべての責任を負う」という意志決定システムを整えることに他なりません。設計を変えろ、耐震性を上げろ、津波対策を強化しろ、組織を変えろ…等々が叫ばれていますが、長期的にはそれらは必ず必要でしょう。しかし、私に言わせれば、焦眉の急はまず意志決定システムを変えることなのです。しかもこれは、お金も時間もかからず、今すぐできる対策です。ところが、事故から2ヵ月も経っているのに、どこの原発においてもそうした動きがない! 今度他の原発で福島と同じような事故が起こった時に、いったいどうすると言うのでしょうか? また菅さんが怒鳴りまくりパニくるのですか?  猿でも学習しますよ!

    公務員をクビにできるようにすればよい

    3つ目の「原発の安全を確保する組織」については、先にお答えした通り「emergency時には、現場のわからない者は口出しをしない」という意志決定システムを作ることでほぼ解決する、また長期的には組織以前の問題である“スペックに合った能力のある人材を集める”という人の問題から始めるべきだ、というのが私の意見です。もし、どうしても組織を葬りたければ、例えば、原子力安全委員会や原子力安全・保安院といった「emergency時に役に立たない組織」は廃止すればいかが? それで、どうしても長期的に「大所高所からの議論が必要だ」というなら、それこそ先述の4つのスキルを持った人材を世界中から集めてきて(5〜6人いれば十分です)、ちゃんと機能する第三者機関を作ればいいでしょう。いずれにしろ、合理的な組織がどうあるべきか、はそれから考えても遅くありませんよ。

    また、ご質問にある「組織の役人を替えても大臣が替わればまた舞い戻ってくる」という問題に対しては、これまで何度も申し上げていますように、まず一番に公務員法を改正して国家公務員と地方公務員をクビにできるようにするしかない。それが公務員改革の第一歩なのです。トップが人事と給与を決められるから組織が動くのですよ。解雇もできない、給与は人事院が決める…こんな組織が動くわけがない! こんな簡単な組織力学がわかる政治家が一人もいないのかしら?

    「公務員は解雇されない代わりにスト権がない」と言うなら、スト権を与えてやればよい。そもそも、今、公務員がストを行うと何が困るのでしょうか? 行政サービスがストップすると言っても、電気やガスや水道が止まるわけではない。せいぜい、書類の発行が止まる、年金の支給が遅れる、医療機関への還付が遅れる…等々、我々がちょっと我慢すればすむことがほとんどでしょう。たいていの生活インフラが整った現在は、昔と比べると私たちの生活における行政サービスの占める割合は大して大きいものではありません。ストが行われても多少の我慢ですむのであれば、それこそ公務員の半分は不要だという証明になりますよ。

    福島第一原発の危機は今後どうなるのか?

    最後に、質問の回答ではありませんが、事故発生から2ヵ月以上が経って炉内の状況がかなりわかってきましたので(少し中に入れるようになったからです)、現時点での福島第一原発の危機に関する私の見解を少し述べておきます。まず、「再臨界が起こる可能性がある」という話が出ているようですが、報道されているようにほとんどの燃料棒が溶けて圧力容器の底にたまっているのであれば、再臨界が起こることはまずありません。もちろん、学者風に言えば「可能性はゼロとは言えない」かもしれないのですが(笑)。なぜなら、臨界というのは燃料棒がある一定間隔にきちんと配置され、制御棒が中に入り、しかも安定剤としての水があるという条件が整って初めて起こるものだからです(そのために臨界を起こすように原子炉が設計されているのですから)。従って、燃料棒が溶けて下に落ちた状態になれば臨界の条件が完全に失われていることになりますから、再臨界が起こるはずがないのです。

    私は、燃料棒がもし溶けてなくて炉内で臨界の条件を保ったままであれば再臨界の可能性があるため、中の状況がわからない時点ではそれを非常に気にしていたのですが、溶けて落ちているということですので、その点は少し安心しています。もちろん、溶けた燃料棒から崩壊熱が出て圧力容器の底が溶け出す可能性はありますが、それは再臨界ほどの危険ではありませんし、温度はすでにかなり下がって安定しているようですので、おそらくこのまま落ち着くだろうと思っています。

    もう一つ、「核爆発が起こる可能性もある」と言う人が今もいるようですが、それは全くのデマです。核爆発というのは、私の理解ではウランの濃度が90数%以上にならないと絶対に起こらない。原発のウラン濃度は20%以下ですから、誰かが濃縮しに行かない限り(?)、核爆発の可能性はありません。そもそも核爆発を起こすこと自体に大変な技術を要するのですから(北朝鮮は国を挙げて起こそうと思っても起こせないのですから)、あの圧力容器の中で偶然に核爆発の条件が整うことなどあり得ないのです。

    ただし、放射性物質と崩壊熱は出続けますよ。残念ながらそれを止めることは誰にもできません。崩壊現象が安定状態に入るのに5年〜10年かかりますから、それまでは現在の場所で溶けた燃料を冷却し続けなければならない。その間、燃料から放射性物質は出続け、それが大気や水を通じて外に漏れ出す危険性が続くと考えねばなりません。それにしても、こんなバカなことになる前に水素が出た時点で手を打っておけば…と、返す返すも残念でなりません。